ガッコ ノ センセ ノ オトモダチ vol.1033

はしご酒(Aくんのアトリエ) その百と百と百と百と六十四

「コトワレルワケネエダロ バカヤロ~」

 「ナニが言いたいのか意味不明、サッパリわからないのは、本当のコトを言わないからだろ」、とAくん。

 ん?

 「たとえば上司に、『例のアレ、もちろん強要はしないよ。あくまでも決めるのは君だから。ま、置かれている立場やら状況をよく考えて判断してくれたまえ』、と、実に穏やかに言われたとしようよ。その例のアレ、断れると思うかい」

 ん~、ソレは、かなり厳しい。

 「断れない、かな。余程のコトなら断れるかも知れないですが、いや、やっぱり断れない、と、思います」

 「そう。そう簡単には断れない。でだ、そんな上司と部下との関係のようなナンともカンともな関係が、国家間にもあったとしたら、どうだい」

 「こ、国家間にも、ですか」

 「そう、国家間にも、だ」

 そんな静かなるパワハラみたいなモノが、社内にあることも好ましいとは思わないが、ソレが国家間にもとなると、もう、好ましいとか好ましくないとか、みたいな、そんなレベルの問題ではなくなるかもしれない。だから・・・。

 「私は、いかなる国家も対等でなければならないと思っています。相手国を圧倒的なパワーで高圧的に思い通りに動かすコトが、正しいとは、微塵も思えない」

 しかしながら、そう強気に宣いつつも、世の中、正しいコトだけで動いているなら、こんなにも愚かなコトまみれにならなかったはず、と、半ば、諦めモードの私であることに、気付いたりもする。

 「だから、本当のコトを言ってしまえばいいんだ」

 ん?、本当の、コトを言ってしまえばいい?

 あっ。

 ひょっとすると、アレか~、アレのコトか。

 ほとんどナンの役にも立たないモノなのに、購入せざるを得ない状況に追い込まれる。役に立たないのに隣国に刺激だけは与える。それゆえ、ヤタラとキナ臭くなる。当然、借金に次ぐ借金で、やら、増税に次ぐ増税で、やらで、掻き集められたマネーは、湯水のごとく使われ、一般ピーポーたちは困窮し疲弊する。おそらく、教育も福祉も、文化も芸術も、そして、命までも、今後、更に一層、軽んじられていくはず。にもかかわらず、そんなナンの役にも立たないモノの購入を受け入れてしまうのは、やはり、受け入れなければならないナニかがあるからなのだろう。ソレが、国家間ににもあったらどうする、という、上司と部下との関係、ってヤツか。

 「所詮、この国なんて、この国の権力者なんて、その程度のモノだということだ。その程度のモノなんだから、カッコつけずに正直に言えばいい。『断りたいよ、断りたいけど、断れるわけねえだろ、バカヤロ~』ってね」

 断れるわけねえだろ、バカヤロ~、か~。

 たしかに、ナニもカも包み隠さず正直に言うことで、やっと、この国のピーポーたちがそのコトを知り、そのコトについて真剣に考えることができるようになるのではないか。とは、思う。知らないままでは、おそらく、取り返しがつかないようなトンでもないコトが起こってしまうまで、ナニも知らないまま突き進んでいってしまうような気もする。しかし、しかしだ。とは言うものの、ナニかが、ナニかが引っ掛かる。その、そのナニかとは・・・。

 「で、でも、でもですよ。断れないコトのドコが悪いんだ、という居直りに、繋がりはしませんか」

 するとAくん、間髪いれずに「繋がるかもな」、と。 

 へ?

 「ソ、ソレで、いいんですか」

 全く動じる様子も見せず、さらにユルリとAくん、語り続ける。

 「繋がるかもしれないけれど、真実を知った上で、居直れないようにすればいい。皆で、声高らかに、『それでも、断んなきゃならねえモンは断らなきゃダメだろ、バカヤロ~』と訴えればいい。と、僕は思っている。先ほども言ったけど、一般ピーポーが真実を知るコトは、やはり、大事だ」

 トにもカクにも、まず、ナニよりも真実を知るコトが大事、ということか。

 「でも、あの人たちは、本当のコトは言わない、わけですよね」

 「居直る気力もないんだろ。そのドコが悪いんだ、と、居直るにもエナジーがいるからな」

 居直るにもエナジーが、いる、か~。

 「だから、知られたくない。だから、我々一般ピーポーごときに、本当のコトなど知らせる必要はない。と、マジで思っているのだろう」

 ふ~。

 なんだかメチャクチャ腹が立ってきた。 

(つづく)