はしご酒(Aくんのアトリエ) その五百と七十四
「マスメディア ノ チンモク」
「ゴシップ」
ん?
「芸能界スキャンダル」
んん?
「取るに足らない、特殊な世界のコト」
んんん?
「だから、報道の必要性を感じなかった」
あ、あ~、あのコトか。
「でも、それ、詭弁、嘘ですよね」
「詭弁?、嘘?」
「たまたま、芸能界スキャンダルであっただけで、メディア、とくに大手メディアは、芸能界スキャンダルに限らず、ナンだって、ハイリスクなモノには蓋(フタ)をしがちでしょ」
「つまり、エラそうに、取るに足らないなどと宣っているけれど、ソレはソレで敵に回すと厄介なナニかがあったから、沈黙した、と、いうわけだな」
「そうです。だから、ぜんぜん、取るに足らないコトではない」
「たしかにそうだな。いくら芸能ゴシップを下に見る傾向があるといっても、子どもたちの人権を、人生を、弄(モテアソ)び、踏みにじる、ような、トンでもない事件が起こっているにもかかわらず、しかも、最高裁での有罪判決まで確定しているというのに、芸能界スキャンダルだから報道の必要性を感じなかったというのは、ドコをドウ考えても可笑しい。納得できないよな」
「軽んじたのではなく、むしろ、ビビッてしまった、というコトです。ナニかに。そして、沈黙した」
「メディアの沈黙。怖いな。実に怖い」
ホントに、マジで怖い。
この程度のメディアが、たとえば、国が、世界が、取り返しがつかないような良からぬ方向へ舵を切ろうとした時に、切ってしまった時に、真っ当に機能するとは、到底、思えない。
大手メディアよ。
ナニを恐れる。
ナニに怯える。
ナニを大切にし、ナニを求め、ナニを目指して、ドコへ、進んでいこうとしているのか。
申し訳ないが、私には、ソレが、全くもって見えない。
(つづく)