ガッコ ノ センセ ノ オトモダチ vol.1147

はしご酒(Aくんのアトリエ) その五百と七十八

「オマユウ オクメンモナク ドノツラサゲテ ナニヲ イウ」

 「おまゆう」

 ん?

 「お前が言うな」

 んん?

 「臆面もなく、どの面(ツラ)下げて、ナニを言う」

 んんん?

 「今まで、いい加減な言動に明け暮れてきたにもかかわらず、そんな過去を全て、綺麗サッパリなかったコトにして、妙にエラそうに正論をぶちかます

 「わ、私のコトですか」

 「違う、違う。この『おまゆう』の是非について、君の意見を聞かせてもらおうと思ってね」

 「お、おまゆう、の、ですか」

 おまゆう。お前が言うな。臆面もなく、どの面下げてナニを言う、か~。

 「私は、正真正銘の正論であるなら、ソレは、ドコのダレが宣ったとしても正論だと思います」

 「おっ、珍しく強気だね~。ダレが宣ったとしてもかい?」

 マズかったかな。いや、そんなことはない。

 「はい。ただし」

 「ただし?」

 「ただし、どんな過去があったのかにもよるとは思いますが、ソコは、やっぱり、キチッと清算しないと」

 「清算?」

 「まず、謝罪。単なる撤回ではダメです」

 「謝罪?」

 「謝罪すらできない者がエラそうに正論を宣っても、受け手が、よほどの人格者でない限り、そんな正論に耳を傾ける者なんていないでしょうから」

 「しかし、単なる上べだけの謝罪なんてのも、あったりするぜ」

 単なる、上べだけの謝罪、か~。

 「ん~・・・。いや、もう、上べだけでもナンでもいいです。やっぱり、正論は、ダレが宣っても、正論だと思います」

 「いいね~。つまり、つまりだ。ドコのダレが宣ったかで、場合によっては、正しきコトが正しくないコトになる、なんてことは、絶対に、ない。と」

 ない。絶対に、ない。

 大丈夫だ。自分の考えに自信をもとう。

 「そうです。正しき意見には耳を傾けないと。シッカリと受け止めないと」

 「相手を打ちのめすコトよりも、己の成長が大事。ってコトだな」

 「その通りです」

 と、エラそうに宣ってはみたものの、どうしても、おもわず「お前が言うな」などと思って、口走って、しまいがちだ。でも、ソコはグッと堪(コラ)えて、正しき意見は、ナニがナンでも自分の肥やしにするんだ。と、意地でも己自身に言い聞かせたい。(つづく)