はしご酒(Aくんのアトリエ) その五百と五十一
「デジタルカ デジタルカ?」
Aくんほどではないものの、「デジタル」と聞いただけで、条件反射のように「苦手!」のランプがピコピコと点滅してしまう。ソレゆえ、当然のごとく、「デジタルはコウだ、コウなんだ」、と、自信満々に語ることなど、まず、あり得ない。
ホントに、苦手なのである。
でも、苦手だからこそ、ソレが、不完全で中途半端なモノであればあるほど、更に一層、ビビットに反応し、「それ、ホントにデジタルか?」、の、ランプが、ピコピコと、ピコピコと、もう、ホントにマジで五月蝿(ウルサ)いぐらい点滅する。
つまり、苦手だからこそ、そのいい加減さが、不完全さが、痛いほど見えてくる、感じ取れる。と、いうコトもある、と、いうことだ。
「デジタル、デジタル化、って、いったい、ナンなのでしょうね」
「いいね~、その直球感。僕の苦手分野と知りながら、ズカズカと土足のままで踏み込んでくるその感じ、いいよ、いい」
「す、すみません」
一回りほど違う年齢ではあるものの、共にデジタル苦手世代。コレは如何ともし難い事実。若者たちのようなわけにはいかない。
「苦手ながらも、あえて、あえて言わせてもらうなら、まず、目の前に、解決しなければならない問題事象がある、と、しよう」
ん?
「その、捨て置けない問題事象を、ナニがナンでも解決するための、一つのツールとして、デジタル化を捉えたい」
ん~。
「たとえば、社内で、自治体で、あるいは国民の意識の中で、まず、共通の問題事象として認識するコトが大切だ。言い換えるなら、共有できないような問題事象は問題事象ではない、と、いうことだ」
共有できない問題事象は問題事象であらずか。
なるほど。
たしかに、そんな、共有されないような問題事象に対して、デジタル化で、などと言われても、誰も、納得なんてできるはずがないと思う。そうでなくても、利権やらナンやらで、裏でダークに繋がっているいるのではないのか、甘い汁を吸っているのではないのか、ひょっとしたら、個人情報が海外にまで流出してしまうような、そんな危険性さえも孕(ハラ)んでいるのではないのか、と、結構、多くのピーポーたちが疑っていたりしているわけだから。
「とにかく、それほどまでに捨て置けない問題事象であるなら、ソレを解決するための必要不可欠なツールなんだ、と、いうコトを、まず、イヤというほど時間をかけてジックリと、理解してもらうところから始めないといけないはずなのに、強引に、エラそうに、数の論理で突き進もうとしているのだから、そりゃ、どうしても、反発も、ミスも、トラブルも、オマケに、不正まで、起こってしまうだろ、普通。そうは思わないかい」
(つづく)