ガッコ ノ センセ ノ オトモダチ vol.1119

はしご酒(Aくんのアトリエ) その五百と五十

「ドウデモヨクナイデスカ ソンナノ ト ソシャク ノ スゝメ ト ヨサン ゴー テン サンオクエーン」

 ポコリと、あるコトが、コトバが、私の頭の中で。

 「どうでもよくないですか、そんなの」と口にする前に、ほんの少しの間でいいから、今一度、その「そんなの」を咀嚼(ソシャク)してみてはどうか。

 コレは、大昔、私のクラスの担任の先生が、あまりにも私たちが、ナンでもカンでも「べつにどうでもいい」などとジャマくさそうにホザきまくっていたものだから、意を決して、諭すように語ってくれたコトバである。ちなみに「咀嚼」は、その先生の口癖で、「あらゆるモノは、噛み砕き切るまで、その本質は見えない」というのが、彼の、持論であった。つまり、私たちが、ほとんどナニも考えず、安易に口にしていた「そんなもの」は、本当に、どうでもいいような、そんなものなのか、というコトを、問い掛けてくれていたのだと思う。もちろん、その言葉、一度も忘れたことはない。と、言いたいところだが、完全に忘れてしまっていた。ま、思い出さなくとも、ちゃんと、咀嚼しながら生きてきた、というコトなのだろう。そういうコトにしておく。

 ところが、ところがだ。

 完全に忘れていたにもかかわらず、あるコトを目に耳にしたことで、あたかも愚かなる人類が招いた温暖化で氷解する南極の氷山のように、つい先日、突然、思い出したのである。

 その、あるコトとは。

 なんと、ソレなりに高学力を誇るあるコメンテーターが、あたかも当時の、軽率で稚拙な私たちを真似るかのように、ほとんど同じコトを宣っていたのである。

 「どうでもよくないですか、そんなの。大金でもないし」

 大金でもないし~?

 大金じゃ、ないんだ。

 政治家たちの遊び半分の研修旅行に、予算、5、3億円。

 予算、ゴー、テン、サンオクエ~ン、で、ある。

 5、3億円は、ある一部の人たちにとっては、大金ではないのだ。

 大金でないなら、サクッと、ポンと匿名で、被災地の人たちや、電気代の高騰なので困っている博物館や、ギリギリの中で地道に取り組んでおられる子ども食堂などなどに、「はした金ですけど、どうぞ」と寄付でもすれば、と、思うのだけれど。しないな、あの人たちは、絶対に。(つづく)