ガッコ ノ センセ ノ オトモダチ vol.226

はしご酒(3軒目) その五十五

「キソウ テンガイ コドク」③

 それでも気になる「孤立化」、「孤独感」。どのようにして、迫り来る(かもしれない)孤立化、孤独感、に、立ち向かえば良いのだろう。

 そこのところを、シツコイと思われることを承知で、もう一度、尋ねてみた。

 すると、ほんの少しだけ間をおいて、いつもより更に小さめの声で、それでいて、確信に満ちた表情で、私のその問い掛けに応えるZ’さん。

 「ウチの奥さんが言うように、愛ある奇想天外であるなら、おそらく、共感が共感を呼び、間違っても、孤立化なんてことは、ないと思う」

 ここらあたりで納得すればいいのだろうけれど、なかなかそうもいかない。

 ナニモノにも臆せず、ガンガンと発言し、行動を起こしていた人たちが、ダンダンと萎んでいったり、突然、姿を見せなくなったり、ということを、マの当たりに見たり、聞いたり、してしまうと、どうしても、そんなキレイごとでは済まないと、思えてしまうのである。

 それでも、だからといって、無難に、溢(アフ)れる思いを抑えてしまうことが最善策とも思えず、どうしたものかとアレコレ考えているうちに、モヤモヤっとした思いの沼にズブリズブリと沈みこんでしまいそうになる。

 そんなとき、Zさんの白く華奢(キャシャ)な手が、頭上からグググググッと伸びてきて、私をガシッとつかみ上げた。

 そして、コレしかないわ、と、Zさんの口から溢(コボ)れたコトバは・・・

 

 「ま、いいか~」。

 

 いろいろあるとは思うけれど、本人が思うほどのコトなんて、そうそうあるもんじゃないし、戦闘モードならまだしも、闘うことさえママならず、悩んで落ち込んで、地盤沈下してしまうぐらいなら、ココはやっぱり、「ま、いいか~」、で、ケ・セラ・セラ、コレしかないわ、と、優しく宣うZさんが、なぜか、観音さまのように見えてしまった、私なのである。(つづく)