ガッコ ノ センセ ノ オトモダチ vol.1108

はしご酒(Aくんのアトリエ) その五百と三十九

「ヒヨリミシュギ ノ バチアタリ」

 「だって、お上(カミ)が褒めてくれるコトをしないと、お金(カネ)、出してくれないんだもん」

 「えっ?」

 「権力者に気に入られなければ、研究補助費も削られてしまうのではないか、という懸念を払拭できないまま、ニジニジと権力に擦り寄り、結局、学者として、たいしたコトなんてナニもできなくなる、という地獄。コレが噂の、日和見(ヒヨリミ)主義の罰当たりシンドロームだ」

 「ひ、日和見主義の、罰当たりシンドローム、ですか」

 「そう。致し方なくであろうがなかろうが、日和(ヒヨ)っている間に、ズルズルとポシャって、終(シマ)いには御用学者以外のナニモノでもなくなってしまう。と、いう、学者にとって、致命的とも言える罰当たり系シンドロームだ」

 う、うわ~。

 「よ、ようするに、お天道(テント)様はお見通し、ということですね」

 「お見通し、お見通し。お天道様の目は絶対に誤魔化せない。魂をドコかに置き忘れてきてしまったような学者は、必ずや、お天道様の怒りに触れる」

 「で、でも・・・」

 「ん?、でも?」

 「じゃ、魂をドコにも置き忘れてなどいない真っ当な学者はドウなるのですか。お天道様は救ってはくれないのですか」

 「権力者を、権力を、敵に回すことのリスクは甚大だが、大丈夫。お天道様はお見通し。己が己を裏切らない限り、そして、己の無限大の可能性を信じ続ける限り、そんな真っ当な学者たちを、お天道様は、そう簡単にポシャらせたりはしないから」

(つづく)