はしご酒(Aくんのアトリエ) その五百と三十四
「ネガティブ ヲ ポジティブ ニ」
「生き抜くための一つの指針として、ネガティブをポジティブに、が、ある。と、僕は思っている」
ネガティブを、ポジティブに、か~。
ナニかにつけて絶望的な気分に陥り易い私にとって、なかなかハードルが高い指針ではある。
「どうせ結果が同じなら、そして、ネガティブにアレコレ考えて落ち込んでしまうぐらいなら、常に、そのネガティブの真逆を向いていたほうが、精神衛生上もウンといい、ということだ」
おっしゃる通り。おっしゃる通りなのだけれど、やっぱりハードルが、高い。
「ただし、政(マツリゴト)を司る圧倒的な権力を握る権力者たちが、ヤタラとバカみたいにイイことばかりを口にするコトを、僕は、ポジティブだとは思わない」
ん?
「イイことばかりを口にする、ですか」
「一般ピーポーたちの賛同を得るために、リスクは、極力、語らずに、美味しいコトばかりを声高らかに訴えまくる。というのは、一歩間違えると、限りなく犯罪に近い。いわゆる詐欺の手口だな」
詐欺の手口、か~。
考えられるリスクの全てを説明した上で賛同を得る、という過程を踏まない政治手法など、本来、あり得ない。あまりにもズルいし、しかも、無責任すぎる。
「あの人たちは、ナゼ、美味しいコトばかりを声高らかに訴えまくるのですか」
「よほど、説明する能力がない、か。そもそも、説明する気がない、か。の、ドチラかだろうな」
能力ならば、仕方ないかな、と、少しは思うが、気がない、となると、たしかに犯罪の臭い、しなくはない。
「一般ピーポーたちを軽んじているのだろう。説明なんかせずとも余裕で乗り切れる、とね」
(つづく)