ガッコ ノ センセ ノ オトモダチ vol.997

はしご酒(Aくんのアトリエ) その百と百と百と百と二十八

「リッケンシュギ」②

 「そんな、期待の星の立憲主義なれど、いかんせん、その法をつくるのもまた権力者であるわけだ。それゆえ、その法が、必ずしも一般ピーポーたちの自由やら権利やらを守ってくれる、とは限らない」

 ん?

 なにやら、立憲主義の盲点を突く、みたいな展開か。

 「たとえば憲法。一般ピーポーからの切羽(セッパ)詰まった強い要望があるわけでもないのに、コレだけ憲法改正憲法改正~とウルサく喚(ワメ)き出したりする。こういう権力者主導の流れの場合、たいていは、権力者にとって都合がいいように変えられていく。つまり、つまりだ。立憲主義もまた絵に描いた餅になりがち、だということ。憲法と同じく、立憲主義なるモノも、ウソ偽りもゴマカしもないホンモノでなければ、一般ピーポーにとって、マイナスになることはあってもプラスになることは、まず、ないというわけだ」

 ん~。

 事前に呑んでいた、桃のヴァイツェンの、その爽やかな余韻がなければ、一気に、気持ちがズンと重くなってしまいそうな展開だ。慌てて、もう一(ヒト)グビリやる。

 「けれど、もちろん、立憲主義が民主主義の下支えにならなければ、という思いはある。そんなもの、理想にすぎない、と、宣う人もいるかとは思うが、正しき法がソコにあるからこそ民主主義は守られる、という強い思いがあるからだ」

 なるほど。

 「たとえば、憲法があったからこそ守られてきた大切なモノ、コト、って、たしかに、間違いなくあると、私も思っています」

 「そう、そういうこと。この国に、あの憲法がなかったとして、全てを、その時々の政治家たちに任せていたとしたら、どうだい?。ちょっと想像してごらんよ。僕なんかは、想像しただけで恐ろしくなってしまうけどね」

 おっしゃる通りだ。

 「ホンモノであればいい、ホンモノを目指せばいい、というコトですよね。ホンモノを、理想を、追い求めなくなってしまった時、この国も、この星も、世界中のピーポーたちも、遅かれ早かれ終焉を迎えてしまうような気が、マジでします」

(つづく)