ガッコ ノ センセ ノ オトモダチ vol.1060

はしご酒(Aくんのアトリエ) その百と百と百と百と九十一

「オテンキガ ヨスギル」

 「自由律俳句のスペシャリストの双璧、漂泊の俳人、尾崎放哉(ホウサイ)、と、放浪の俳人種田山頭火(サントウカ)。彼らが詠んだ句たちは、今でも多くのファンを魅了している」

 おっ。

 「自由律、自由律なんだけど俳句。コレって、お茶目(チャメ)なんだけど堅物(カタブツ)、と、似ているような気がしないかい」

 申し訳ないけれど、ソレは、しない。

 「陰と陽、月見草と向日葵(ヒマワリ)、野村克也長嶋茂雄。テイストの違いこそあれ、このお二人さんの句たちからは、同じ『会者定離(エシャジョウリ)、諸行無常の響きあり』感がジンワリジンワリと伝わってくるわけよ」

 ん、んん~。

 「咳をしても一人」

 あ~、ソレは知っている。

 「お天気がよすぎる独りぼっち」

 あっ、ソレも聞いたことがある。

 「こんな僕のようなものでも、ナゼか知っている、ドコかで聞いたことがある、そんなお二人さんによるこの二つの句からも、ナンとなく伝わってこないかい。『会者定離諸行無常の響きあり』感が」

 なるほど、なるほどな~。

 たしかに、たしかに伝わってくる、ような、そんな気もしなくはない、かな。

 「そして、今宵、漂泊の俳人、放浪の俳人、に、迫る、定住の俳人、の、この僕の、渾身の自由律俳句、を、一句、発表させてもらおう」

 て、定住の俳人、の、渾身の自由律俳句!?

 「じゆうじゆうと、美味そに焼かれる牛、ふじゆう」

 ん、んんん~?

 「咳をしても、お天気がよすぎるとしても、そして、じゆうじゆうと美味そに焼かれていたとしてもだ、『会者定離諸行無常の響きあり』なんだよな~」

 ホントに、ホントに申し訳ないのだけれど、三番目のソレだけは、ナニかがちょっと違うような気がする。(つづく)