ガッコ ノ センセ ノ オトモダチ vol.1034

はしご酒(Aくんのアトリエ) その百と百と百と百と六十五

「ナモナキ イチゴ」

 「名もなき」 

 ん?

 「あのミスチル(Mr.Children)の、♪名もなき詩、じゃ、ないけれど、巷を賑わす様々なブランド苺(イチゴ)ではない名もなき苺が、意外にもメチャクチャ美味しかったりするものだから、農作物って、ホント、面白い、というか、奥が深い、というか、マジで感心したりしてしまうわけよ」、とAくん。

 名もなき、苺?

 あ~、ソレならスグさま理解できる。

 それは、父親の故郷である四国は高知の、室戸に、数年前に初めて訪れた時、その途上で、たまたま立ち寄った道の駅で、たまたま購入したトンでもないほど安価な名もなきノーブランド苺が、空前絶後の美味しさであったコトを、リアルに経験しているからだ。

 その、名もなき苺。

 いや~、マジでホントに美味しくて、その夜、たまたま手に入れたCEL-24という酵母で醸された(らしい)純米吟醸酒の、そのアテにしてしまったぐらいなのである。

 そんな「名もなき」、とは真逆の「名がありすぎ」に、あるいは、クソみたいな「肩書きまみれ」に、このところ、度々ゲボッと反吐が出そうな私、で、あるだけに、この「名もなき」というワードに、(少し飛躍しすぎかもしれないけれど)、この国、この星、の、未来に対する救世主のようなパワーを、感じたりもする。つまり、後押しなどダレもしくれない、自分の実力以外ナニも頼れない、みたいな、そんな中でも、己を信じて、前へ、前へと突き進む姿勢は、いずれ、必ずや、多くの共感を呼ぶ、に、違いない、という・・・いや、やっぱり飛躍しすぎ、だな。

 などと独り言ちていると、Aくん、「でも、そんな名もなき苺みたいなモノとは対極の、『名があるから辛い』という、ソレはソレなりの嘆きみたいなモノもまた、あったりするのだろうけどね」、と。

 な、名があるから辛い?

 あ、あ~、名があるから、辛い、か~。たしかに、ソンな「辛さ」もあるのかもしれないな。

 この際、名もなき、であろうが、名がある、名がありすぎ、であろうが、そのドチラ側にも、とりあえず、「周りのコトなど気にせず、己を、己の力を信じて、真っ当な正義の道を突き進め~」、と、エールを送っておこうと思う。飛躍しすぎかもしれないけれど。(つづく)