ガッコ ノ センセ ノ オトモダチ vol.1025

はしご酒(Aくんのアトリエ) その百と百と百と百と五十六

「エッゲッツッナ~!」

 「えげつない」

 えっ!?

 自然を愛し、敬意を払い、そのリズムに合わせて寄り添うように生きる彼女のことを思い出しつつ、ドップリと、自分の世界に入り込んでしまっていただけに、かなり驚いてしまう。

 「おそらく、ドコかの方言なんだろうけれど、タイヘンやら、スゴいやら、ヤバいやら、程度の言葉では、到底表現しきれないぐらい致命的に心をギャッと抉(エグ)られたような時、この『えげつない』ほどビタッとくる言葉はないように思うんだよね」

 心を抉られた時の、えげつない、か~。

 えげつない。

 えげ、えげ?、あっ、あ、あ~、岡八郎岡八郎の「えっげっつっな~」だ。間違いない。

 「岡八郎、ですよね」

 「岡八郎?」

 「ほら、お笑い花月劇場の、あの『くっさ~』の、岡八郎

 「はいはいはいはい、奥目の八(ハッ)チャン、岡八郎ね。そうそう、ソレだよ、ソレ。岡八郎の『えげつな~』」

 「えげつない」に岡八郎の「えっげっつっな~」が被(カブ)さって、「なるほど、なるほど、なるほどな~」と一気に納得がいく。

 「そんな『えげつない』を、タンマリとバケツで汲み上げて、思いっ切りソイツの頭の上から浴びせたような、そんな政治家やら政策やらが、このところ、目立って目立って仕方がないんだよな~」

 えげつない、政治家、政策、か~。

 ん~・・・。

 そう言われると、たしかに、その場しのぎの金(カネ)まみれ、利権まみれ、票集めまみれ、に、加えて、たいした外交努力もせず、不安を煽りに煽って「攻撃されたらどうするんだ」まみれ、などなどの愚策三昧に、Aくんのその指摘、満更的(マト)外れではないように思える。

 「だけどね」

 ん?

 「『えげつない』には起死回生の真逆の意味もあったりするわけよ」

 んん?

 「ソコに、微(カス)かな期待を抱いているんだがな~」

 起死回生の、真逆の、意味、・・・か~。

 つまり、えげつないほどブラボ~な政治家、政策、ということだな。

 Aくんが抱くその期待のような、そんなソッチ側の「えっげっつっな~」な政治家やら政策やらが増えてくれれば、きっと、我々一般ピーポーの日々の生活も、細やかながらもジワジワと、幸せやら満足感で満たされてくるような気はするけれど。でも、ソレは、どうかな~。冷静に考えれば考えるほど、その期待が、ス~ッと薄ボケていきそうだ。

 なんとなく、もうそろそろ、あのモンテスキュー同様、岡八郎も、草葉の陰で泣きながら、「エエかげんにせんとあかんで、ホンマに」という思いを目一杯込めて、ココで一発、そんなソッチ側ではないコッチ側の「えっげっつっな~」でブチカマしてくれそうな気がする。

 ほら、ほら、ほら・・・ほら。

 えっげっつっな~! 

(つづく)