ガッコ ノ センセ ノ オトモダチ vol.946

はしご酒(Aくんのアトリエ) その百と百と百と七十七

「サケビバ! サケビバ?」

 酒絡みの税収が減少傾向にあることから、なんと、「若者たちよ、もっと、もっと酒を呑もう!」という政府の試みみたいなんだけどさ~、と、ブツブツ言いながら、Aくん、カタカナで「サケビバ!」と書かれた一枚のチラシみたいなモノを見せてくれる。

 サケビバ?

 国税庁

 運営事務局欄には、この手のコトに首を突っ込みがちな、あの会社名もあったりする。

 酒をこよなく愛す私ではあるけれど、ナニかが引っ掛かる。

 「民間の力で、酒の旨さを、酒のバリエーションを、酒を中心にした新たなライフスタイルを、全て丸ごとひっくるめて発信していく、というのなら、僕も微力ながら応援したいと思うけれど、でも、ナゼ、国税庁なんだ、ナゼ、国の試みなんだ、ナゼ、酒に税金なんだ、ナゼ、その酒税のために若者が酒を呑まなきゃいけないんだ、などと、どうしても、アレもコレも突っ込みを入れたくなってしまうわけよ」、とAくん。どうやらAくんも、この、国税庁が音頭を取ってヤラかそうとしている振興イベントに、キャンペーンに、丸っきり納得していないようだ。

 「詳しいコトがわからないので、ナンとも言えないかな、とも思いますが、けれど、やっぱり、税収入が減ったから、若者たちにもっと酒を呑め、というのは、あまりにも稚拙で、短絡的で、筋違いだと思います」、と、私なりに感じたコトを、そのまま話してみる。

 「なんかさ~、コレって、この発想って、あの時のインバウンドとか、今、巷を賑わしているIR(アイアール)とかと似てないかい」

 インバウンドとかアイアールとかと?

 「外国人も、若者たちも、みんな、金(カネ)なんだよ、金」

 みんな、金?

 「人を人として見るのではなくて、人を金、金蔓(ヅル)としてしか見ないわけよ。外国人も金。若者たちも金。酒もみ~んな、金、金、金だ」

 ふ~。

 なんだか気持ちが一気に重たくなってきた。

 重たくなってきたついでに、その筋違いに細(ササ)やかなる怒りを込めて、ココで、一句。

 

 酒呑まし

 税収アップと

 サケビバす!

 

(つづく)