ガッコ ノ センセ ノ オトモダチ vol.929

 はしご酒(Aくんのアトリエ) その百と百と百と六十

「ヤルト キメタカラニハ ヤルシカナイ」

 「ヤルと決めたからにはヤルしかない」

 おっ。

 「聞こえはいいよな」

 いい、たしかに、いい。

 「気概も覚悟も、目一杯、感じるし」

 感じる、たしかに、感じる。

 「人がナニかをヤリ遂げる時って、そういう感じの時なんだろうな、とも、思うし」

 とも思う、たしかに、思う。

 「でもね」

 うわっ、で、でた。いつもの、必殺「でもね」返し。

 「登山家は、ヤルと決めてもヤラない時がある」

 ん?

 「ヤルと決まっているコトも、ヤレない時はヤラない。コレができない登山家は、必ずと言っていいほど命を落とす、という」

 んん?

 「僕はね、政治家も、場合によっては登山家でなければならないんじゃないか、って思っている」

 んんん?

 「その先に、トンでもない危機が、危険が、落とし穴が、あるとわかったその時には、たとえヤルと決めたコトであったとしても、ナニがナンでもヤラない。その決断ができない政治家は、間違いなく多くの一般ピーポーたちをも巻き込んで、丸ごと不幸にしてしまうに違いない」

 あ~。

 いわゆる、勇気ある撤退、というヤツだな。

 たしかに、ソレができない権力を握る政治関係者が、あまりにも多くいるような気はする。おそらく、大きな利権が、巨額の金が、すでに絡みに絡みまくっているからなのだろうけれど、ソンなコトで、シモジモであるピーポーたちを不幸に陥(オトシイ)れてしまうことなど、もちろん、けっして許されることではない。

 そんなことを思ったりしているうちに、ズンズンと、ズンズンと、ズンズンと憤りも不満も不愉快も膨らんできて、おもわず、・・・

 

 「死刑!!」

 

 かなり遠慮ぎみながらも、あの、がきデカの決めポーズまで付けて口に出してしまったものだから、首から上がカッと真っ赤に燃え上がる。(つづく)