はしご酒(Aくんのアトリエ) その百と百と百と四十四
「ドサクサマギレノ カジバドロボウ」
人の弱みに付け込んで、人の心の痛みまでもを利用して、己の、己たちの望みを、野望を、ナニがナンでもヤリ遂げてやろう、という、その貪(ドン)欲過ぎる姿勢には、ホトホト辟易(ヘキエキ)とする。と、Aくん。
「使えるモノはナンでも使ってやる、という、情け知らずの執念みたいなモノは感じますけど、ね」、と、とりあえず、よせばいいのに、ほんの少しだけソチラ寄りに語ってみせる、私。
するとAくん、案の定、「情け知らずの執念、ね~。とくに、政治を司るピーポーたちにとって、執念は大事なのかもしれないが、情け知らずの、と、なると、諸手を挙げて賛同するわけにはいかないな」、と。
や、やばい。
「情けが消え失せて、執念だけが残ってしまったような政治家が、あまりにも幅を利かせつつあることに、憤りさえ覚えてしまう」
「で、でも、情けを捨て切れないがゆえに、思い切った次の一手が打てない、というコトもあるのではないですか。必要なら、人の不幸さえも、その一手のために躊躇うことなく利用する」
わっ、私はナニを言っているのだろう。
ダ、ダメだ。このあときっと、強烈なカウンターパンチを喰らう。
「ほ~。情けを捨て切れるからこそ、人の不幸さえも利用できるからこそ、政治家なんだ、と、君は言いたいわけだ」
カウンターパンチ前のジャブのうちに、慌てて言い訳を試みる。
「もちろん、皆が皆、とは思いません。知人の議員さんなどを見ていると、あ~、ドップリと情けの中で悩んでおられるな~、と、思う時がありますから」
「つまり、つまりだ。政治家として大成しようと思ったら、情けを捨て切れずに悩んでばかり、では、話にならない。躊躇なく『ドサクサまぎれの火事場泥棒』になれ!、ということだな」
ドサクサまぎれの火事場泥棒、か~。
・・・
「いかん、いかん。やっぱり、そんなのはダメだ、ダメです。撤回させてください。情け知らずの政治家は政治家であらず。情けを捨て切れず悩みに悩んでこそ政治家。そういう政治家でなければダメだと思います」
大災害も、戦争も、人の死も、ダークなチャンスと捉える「ドサクサまぎれの火事場泥棒」、みたいな、そんな情け知らずの政治家に、できる正しきコトなどナニもないはずだ。(つづく)