ガッコ ノ センセ ノ オトモダチ vol.930

はしご酒(Aくんのアトリエ) その百と百と百と六十一

「ウハウハノ ピンハネテンゴク」

 あの世には、汚(ケガ)れのない、ドコまでもブラボ~な極楽浄土、天国がある、などと言われたりもしているが、その一方で、この世には、到底「善」とは言い難い、「悪」にまみれた天国もあったりするものだから、実に厄介だ、とAくん。

 この世の、天国、か~。

 そう言われると、たしかに、この世にも、温泉天国やらグルメ天国やら。他にも、学園天国、かりそめ天国、などという天国もあったかな。しかし、「悪」にまみれた天国となると、なかなか、思い浮かびも思い付きもしない。

 「悪にまみれた天国、ですか」

 「そう。正確に言えば『偽(ギ)天国』ということになるのだろうけれど」

 偽天国、か~。

 「その中でも、とくに今、巷を大いに賑わしているこの世の天国、偽天国が、あの、ピンハネピンハネ天国」

 あ~。

 「必要なんてないのに、ナゼかソコにいる。ソコにいて、たいした働きをするわけでもなく、右から左へのその途中で見事なまでの中抜きピンハネ三昧。そりゃ~、ヤめられないトまらない、ピッンハネ三昧、ウッハウハ、だろうよ」

 あっ、あ~。

 たしか、いったん食べ始めたらもう止まらなくなるという、あの、伝説のスナック菓子のCMソングだ。間違いないと思う。

 「ソレぐらい美味しい、ということですよね、そのピンハネ天国は」

 「そう、美味しい美味しい。ヤめられないトまらないぐらいだからな。でも、ソレを天国と感じるのは食べている当人たちだけで、食べられている側にとっては天国でもナンでもない。だからこそ偽天国。どころか、ちょっとした地獄だな、この世の生き地獄」

 なるほど、なるほどな~。

 ウハウハのピンハネ天国は、その視点を変えた途端に一気に、ムカムカのピンハネ地獄に、ということか。

 ナンと悍(オゾ)ましい。

(つづく)