はしご酒(Aくんのアトリエ) その百と百と百と五十一
「ロクワリセイジカ ト ヨウカイ ブンダダダ~ン」
以前は、「対話」とか「歩み寄り」とか「折衷案」とかといったワードをよく耳にした。しかし、あの、国民の6割さえコチラを向いてくれれば、あとの4割は国民にあらず、とでも言いたげな「6割政治家」たちが、妙に気を吐いて、ブイブイと幅を利かし始めたあたりから、もう、ほとんど耳にしなくなった、と、ボヤくことしきりのAくん。その表情は、重く暗い。
このコトは、この国に限ったことではないらしく、それゆえに、そこかしこで重苦しい「分断」が起こってしまっている、と、嘆く。そして、トドメを刺すかのようにAくん、その、6割政治家の背後で、必ずと言っていいほどチロチロと彷徨(ウロツ)く、ある妖怪について言及する。
「その妖怪とは」
「その妖怪、とは?」
「その妖怪とは、ナニよりもダレよりも『分断』が好物の」
「分断が好物、の?」
「妖怪ブンダダダ~ン」
よ、妖怪、ブンダダダ~ン!?
「ブンダダダ~ン、ですか」
「そう。とくに、分断の邪魔をする対話とか歩み寄りとかが大嫌いみたいでさ~。とにかく、その全ての土台が『勝ち負け』なわけよ」
「土台が、勝ち負け、ですか」
「そう。たとえば選挙。ソイツたちにとって選挙なんてモノは、勝ち負け以外のナニモノでもないわけ。つまり、勝者こそが民意の代弁者であって、敗者ごときは、支持されていないのだからオトナしくしておけ、ってなもんだ。もちろん、当然のごとく広がる分断。ソコではもう、『認め合う』なんて風前の灯だ」
風前の灯、か~。
なんだかジクジクと、聞いているだけで滅入ってくる。
「そして、その代わりに生まれ蔓延(ハビコ)り出したのが、『敵対』やら『いがみ合い』やらといった、妖怪ブンダダダ~ンのお気に入りばかりで、もう、ソイツたちの思う壺(ツボ)だよな~」
そんな妖怪ブンダダダ~ンに共感した、あるいは、洗脳された、残念な政治家、政治関係者、たちが、その妖怪の力「妖力」をも借りながら、今日も今日とて強引に、傲慢に、高圧的に、突き進む。ということか。
なんだかザワザワと、想像しただけで鳥肌が立ってくる。(つづく)