はしご酒(Aくんのアトリエ) その百と百と百と四十二
「イチジカン イチオクエン ノ ビッグイベント」
コレほどの巨額の税金を投入しているビッグイベントであるにもかかわらず、毎度毎度コレほどの無関心感を放ちまくられてしまっているというモノも、そうそうあるもんじゃない、と、嘆くAくん。
「経済的に、かなり厳しいこのご時世に、そんな、空振り感満載のビッグイベントなんて」
「そう、あるわけない。普通、打たないよね、そんな興業。でもね、打ってしまうわけよ、バカほど税金を投入して」
なんだろう。
その、バカほど税金を投入しているビッグイベントとは。
「ザッと見積もって、一時間一億円ぐらいかな」
「い、一時間、い、い、い、い、一億円!?」
「総額六百億円」
「ろ、ろ、ろ、ろ、六百億円!?」
「それだけの価値があるのか、ないのか」
「費用対効果が、低い。ということですか」
「費用対効果、ね~。低いかも、いや、低いな、かなり」
そもそも費用対効果が低いモノって、「お金が入ってこず、出ていくばかり」のモノ、というイメージ。じゃ、ナゼ、そうなってしまうのか。サクッと考えてみただけでも、たとえば、ニーズに合わない、とか、惹き付けるだけの魅力に欠ける、とか、ゆえに、購買意欲を掻き立てられない、とか、だから売れない、とか。トにもカクにも良いイメージなど微塵もない。
「で、その、トンでもなく情けないビッグイベントって、ナンなのですか」
「先ほどから君も、『いまひとつ積極的になれないんだよね』感を漂わせている・・・」
ん?、んん?、ま、まさか。
「国政選挙」
あ、あ~、やっぱり。
「国政選挙、か~。でも、そんな空気感、漂わせているかな~」
「いるいる、結構、漂わせている」
「漂わせている、か~。・・・、国政選挙に対しては、私なりに思うコトもあって、真剣に考えてはいます。でも、ナニがナンでもまず投票ありき、という気持ちには、なかなかなれない。そのあたりの気持ちが、知らず知らずのうちに、そんな感じを漂わせてしまっているのかもしれません」
「知らず知らずのうちに漂わせてしまっている、と。ん~、その気持ち、理解できなくはないけれど、ま、とにかく、とにかくだ。バカみたいに税金を投入しているビッグイベントということは、もう、前もって投票参加費を支払わされているということになるわけだ。投票参加費の先払い、わかるかい、先払い。となると、白票でもいいから一票投じないことには、気が収まらないわけよ、僕なんかはね」
気が収まらない、か~。
Aくんなりの、どうにかしてでも、その、費用対効果の低いビッグイベントに関わっていこうとする姿勢、邪道臭はするものの、ソレはソレで納得できる。
私も私なりに、ココは更にもう一歩、二歩、三歩、真剣に、前向きに、考えてみようと思う。なぜなら時代は、すでに、真剣に、前向きに、考えてみなければならない時代に、考えてみなければ、取り返しがつかないほどトンでもないことになってしまいかねない時代に、突入しつつあるように思えるからである。(つづく)