ガッコ ノ センセ ノ オトモダチ vol.833

はしご酒(Aくんのアトリエ) その百と百と六十四

「イホウセイノ ソキャク! イホウセイノ ソキャク?」

 「どんなにトンでもないコトであったとしても、ソレなりに世の中の役に立つのなら、ま、大目に見るとするか~、みたいなコト、あったりするんだよな~」

 ん?

 「メリットがあるなら、どんなに怪しげな手段であろうとも容認する。限りなく違法なモノでも目を瞑(ツブ)る」

 んん?

 「そんなマジカルでテクニカルな悪魔の手法が、政治絡みの世界では、結構、幅を利かせていたりするわけよ」

 んんん?

 ・・・あ、あっ!

 「ソレって、いわゆる、違法性の阻却(ソキャク)、ってヤツですか」

 「おおっ。随分と難しい言葉を知っているんだな」

 なんだか少し、照れてしまう。

 「ザッツ公共である地方自治体が、目先の収益を当て込んで、ギャンブル産業に巨額の血税を投入する、という、オキテ破りのその戦略の是非に対するダレかのコメントの中で、幾度となくそのワードが使われていたものですから」

 なんだか少し、不安になる。

 「ほ~、なるほど、なるほどね。違法性の阻却、それ、言い得て妙かも。つまり、つまりだ、公共団体であろうが、ギャンブルであろうが、目先の収益が、意図も簡単に、その、違法性を阻却してしまうわけだ」

 なんだか少し、ホッとする。

 「ギャンブルの収益を、そのまま公益性に繋げてしまうあたり、なかなかの浅ましさだと思うのですが、なぜか、スッと、多くのピーポーたちに受け入れられたりする。そのコトが、不思議で不思議でならないのです」

 するとAくん、諦めと憤りとがゴチャゴチャっと混じったような口調で、吐き捨てるように、「利権利権、利権も含めて、とにかく、カネカネ、カネ(金)なんだろう、おそらく」、と。

 「カネ、カネ、カネ、ですか」

 「そう、カネカネ、カネ、だね」

 ふ~。

 なんだか少し、どころか、ドッと疲れる。(つづく)