はしご酒(Aくんのアトリエ) その百と百と百と十一
「フワットシタ?」
「いい感じ」を表した言葉かなと思わせつつ、実は、みたいな、そんな詐欺っぽい言葉ってのがあったりするわけよ、とAくん。
詐欺っぽい言葉?
「とくに今、コレって誉め言葉じゃないよね、と、思っているのが」
ん?
「フワッとした、民意」
んん?
「必要以上にピリピリ、カリカリ、して、脳ミソがキリキリしてしまうぐらいなら、心穏やかにフワッと、のほうがウンといい。と、最初のうちは思っていたのだけれど」
んんん?
「こと、政治やら経済やらといった、ちょいと油断するだけで、トンでもない方向にズルズルと流されていきかねない分野に限っては、むしろ、ピリピリ、カリカリ、キリキリぐらいのほうが、まだマシ、ということだ」
フワッとした民意、か~。
あらためて振り返ってみると、世界恐慌も、ナチスの台頭も、第二次世界大戦も、あのバブルの崩壊も、この核の、核兵器の拡散も、「大丈夫、大丈夫」というフワッとした民意のその先で待ち構えていたトンでもない悲劇のように、たしかに思えなくもない。
すると、なぜか突然、私の頭の中に、綿菓子とかき氷とが現れる。どちらも、「おいでおいで、こっちへおいで」と手招きをしているのだ。
綿菓子にナンの恨みもないけれど、ナニかと問題だらけのクソ暑い灼熱の炎天下のような今日この頃、この国、この星、だけに、「ココはやっぱり、身も心も頭もシャキッと目覚めさせる意味でも、ピリピリカリカリキリキリだろ」と、かき氷のほうを選ぶことになりそうだ。(つづく)