ガッコ ノ センセ ノ オトモダチ vol.865

はしご酒(Aくんのアトリエ) その百と百と九十六

「マナビ ト センノウ ト」

 僕たちってさ、一人ひとりそれぞれ、自分自身の「ものの考え方」ってのは、間違いなく、自分自身の意思でつくり上げた個別の「ものの考え方」なのであって、いかなるモノにも左右されたものじゃない。と、思いがちだし、そう思いたいところなんだけれど、ソレって本当か?、って、僕なんかは思ってしまうんだよな~、とAくん。

 いや~、いつもながら、わかりにくい。

 「つまり、つまりだ。知らず知らずのうちに、ナニか強大なモノにとって都合のいい、ような、そんな『ものの考え方』に移っていくように、洗脳されつつあるんじゃないか、って、ね」

 「思うわけですか」

 「そう。学び、だと思っていたものが、実は、ダークな洗脳、だった、みたいな、そんな感じだ」

 学び、が、洗脳、か~。

 「教育の現場が、最も注意しなければならない点である、とも思っている」

 学校の現場でも、ヤヤもすると、学びの中身に歪んだ嵐が吹き荒(スサ)ぶ、ということか。

 「ソコに、メディアやらネットなるものやらまでが根を張り始めて、更に一層、個々が、真っ当な判断をすることが難しくなってきている、ような、そんな気がしてならないんだよな」

 たしかに、油断していると、ズルズルと、ズルズルと頭の中が、心の内が、知らず知らずのうちに、ダレかにとって、ナニかにとって都合のいいように歪んでいくようなその感覚、わからないわけではない。

 そういえば、『ネット・ホラー スマホの中には悪魔がいる』などという、いかにも、このネット社会の闇みたいなホラー小説があったように記憶する。まさにその題名のように、スマホの中には、ネットの中には、現代社会に巣食う厄介なる悪魔が、ヘラヘラとほくそ笑みながら、いるのかもしれない。

 こわっ。

(つづく)

 

 

 

 

追記

 一見、正論のように見えなくもない勇ましい言葉の数々に、「たしかにそうだ、キレイごとでは済まないんだよな。理想ばかりに現(ウツツ)を抜かさないで、もっと現実を見ないと」などと、皆が皆、ジワジワと思い始めたりしているうちに、温暖化は更に進み、原発は再稼働し、農業や福祉やライフラインなどの現場は軽んじられ、弱者は切り捨てられていく。そして、アッサリと、稚拙な勢いだけで憲法は姿形を変え、悲しいかな、過ちは、破壊は、殺戮は、戦争は、繰り返されるのだろう。

 愚かなり、大人たち。

 未来ある子どもたちに、どんな姑息な言い訳をするつもりなのか。