ガッコ ノ センセ ノ オトモダチ vol.987

はしご酒(Aくんのアトリエ) その百と百と百と百と十八

「ネッキョウテキナ ガンバンシジ ノ コウザイ」

 「よその国でも、しばしば見掛けることがある『熱狂的な岩盤支持層』。コレって、やっぱり、どうしても、冷静な思考も判断も阻害するという意味で、罪深いよな~」、とAくん。

 ん?

 熱狂的な、岩盤支持層?

 今宵だけでも何度か登場したワードだ。

 おそらく、Aくんは、いわゆる「支持政党」のコトを言っているのだろう。が、そもそも、熱狂的支持なるモノの罪深さは、政党絡みのコトのみならず、日常生活全般の人と人との関係ゴトにまで及ぶ。ソレだけに、その罪深さは、捨て置けないほど甚大だ、と、言えそうだ。

 「ナゼ、ナニがナンでも岩盤支持、なんてことができるのだろう」

 ナニがナンでも、か~。

 あらためてそう言われると、たしかに、ナゼなのだろう、と、思ってしまう。

 「ナニがナンでも岩盤、なのか、それとも、岩盤だからナニがナンでも、なのか。どちらも同じぐらい罪深そうですけど、でも私は、どちらかというと後者の方が、より罪深いような気がします」

 「まず岩盤ありき、ということだな。たしかに、脳ミソもハートもカッチンコッチンの岩盤、となると、冷静で柔軟な思考も判断もできそうにないな」

 とはいえ、もちろんメリットはある。

 「そうは言っても、支持してもらえる側からしてみれば、頼もしいし、喜ばしいし、有り難いはず」

 しかし、すぐさまその後方からデメリットが、ソコに覆い被さるように押し寄せてくる。

 「とは思いますが、岩盤だからといってナニがナンでも支持する、支持し続ける、では、場合によっては、学びも気付きもなくズルズルとトンでもなく間違った方向へ、という最悪のケースも、起こり得るでしょうね」

 「起こり得るだろうな。国会中継なんかを見ていても、なんだかな~、って思うこと、ありまくるから」

 「ありますね。他の政党の議員が、目から鱗の、かなりイイことを発言されていたとしても、おっ、なかなかイイ意見じゃないか、と、思ったとしても、党が違う、党の方針と相容れない、賛同などしてしまうとお叱りを受けてしまう、ナンらかの処分さえされかねない、もちろん支持者も黙ってはいない、次の選挙がタイヘンだ、などといった己の立場都合の理由だけで、その発言の重要な部分をジックリと咀嚼してみようともしない。こういうのって、ホントにレベルが低いな~、って、思いますもん」

 「思うよね~。良い意見は熱いうちに打て、という御触れでも出ているのかもな。バカにするわ、イチャモンを付けるわ、罵(ノノシ)るわ、と、もぉ~ウルサイウルサイ」

 たしかに、うるさい。

 「マンション建設なんかなら、安定した屈強な『足』固めという意味においても、絶対、岩盤の方がイイのだろうけれど、身の回りの、この国の、この星の、正しき未来に対しては、この岩盤、大いにその『足』を引っ張ってくれそうだよな~」

(つづく)

 

 

 

 

追記

 子育て世代に圧倒的な人気の、ある地方自治体のトップが、議会との摩擦の中でキレてしまい、不覚にも、おもわず発してしまったその暴言の責任を取って、政界引退を表明したという。

 コレも、岩盤がもたらした闇の一つのように思える。

 おそらく、反対勢力にとっての不都合は、たとえソレが良い意見であろうが、良いトップであろうが、どんな手を使ってでも熱いうちに打て、ということなのだろう。