ガッコ ノ センセ ノ オトモダチ vol.859

はしご酒(Aくんのアトリエ) その百と百と九十

「コクエキニミセカケタ ベツモノノカノウセイ」

 「ココで、社会派早口言葉を一つ」

 自慢の唐突さで、そう口火を切ったAくん。その、社会派早口言葉なるものを、思いの外(ホカ)高速で、一気に披露してくれる。

 「コクエキニミセカケタベツモノノカノウセイ、コクエキニミセカケタベツモノノカノウセイ、コクエキニミセカケタベツモノノカノウセイ」

 「そ、それが、社会派早口言葉、ってヤツですか」

 「そうそう、社会派早口言葉、の、その中の一つ、ね」

 ちょっと微妙な感じではある。

 「巷で流行らないかな~、と、密かに期待しているのだが」

 まず流行らないな、と、思いはしたものの、こういった、教訓的な、啓発的な、早口言葉が、人々の間で静かなるブームになることを、なんとなく期待もしてしまう。

 「国益に、見せかけた、別モノの、可能性、ですか」

 「なかなかな、社会派早口言葉だろ」

 「たしかに、いいトコロを突いてはいますよね」

 「あの、般若心経のように、さり気なく、人々の心の中に根付かないかな~」

 さすがにソレは難しいかな、と、思いはしたものの、政治を司るシモジモじゃないピーポーたちが、ナニやら妙に美味そうな話をし始めた時、ソレを鵜呑みにする前に、まず、自分たちの「聞く耳」の精度を上げるためにも人々が、この社会派早口言葉を心の中で唱えてみる、ことに、やっぱり、なんとなく期待をしてしまう。

 コクエキニミセカケタベツモノノカノウセイ、コクエキニミセカケタベツモノノカノウセイ、コクエキニミセカケタベツモノノカノウセイ。

 般若心経にはタイヘン申し訳ないのだが、心の中で、何度も何度も繰り返しているうちに、ほんの少し、ほんの少しだけれど、現代の、新たなる般若心経、の、ように、感じなくもないかな。(つづく)