ガッコ ノ センセ ノ オトモダチ vol.797

はしご酒(Aくんのアトリエ) その百と百と二十八

「カイキ ナ カイギ ニ ミライハナイ」

 そこかしこに数多ある「会議」なるもののその構成メンバーを見るだけで、その会議の知性とか品性とか先進性とか、が、ほぼ、わかる。言い換えるならば、たとえば、申し訳ないが、ネクタイを締めたスーツなオヤジさんたちばかりがズラリとガン首を並べたような会議に、知性も品性も先進性も、ついでに突破力も可能性も、全くもって期待などできない、ということだ。と、独自の「会議」に対する思いを、考えを、声高らかに語り始めたAくん、その鼻息も荒い。

 あたかもソレは、漫画に登場する興奮気味の人物が、鼻の穴からブフォッブフォッとケムリみたいなモノを放っているあの感じに酷似していたものだから、もう少しで吹き出してしまいそうになる。

 そんな私を、軽く無視するようにして、より鼻息も荒く、ソコから更なる展開をしてみせる、Aくん。

 「奇々怪々!」

 ん?

 「怪奇、と、会議、は、一文字違い。どころか、点が二つあるかないかの違いに過ぎない」

 んん?

 「のだけれども、たった二つ、点を付け忘れただけで、会議は、一気に、意味不明の、怪奇な会議に様変わりしてしまうということを、決して忘れるべきじゃない」

 んんん?

 か、怪奇な、会議に、か~。

 ほんの、ほんの少しの油断で、いとも簡単に様変わりしてしまう奇々怪々なる怪奇な会議。そんな、様変わりしてしまった怪奇な会議に、意味など見出だせるわけないじゃないか、ということを、Aくんは宣おうとしているのだろうか。

 「つまり、つまりだ、年齢やら性別やら出身地やらナンやらカンやらを軽く飛び越えた人種の坩堝(ルツボ)、千差万別のバックボーン、激しく交差する異文化、価値観、専門性、云々、みたいに、いい意味で、グチャグチャッとしまくりまくったチャンプルー会議でなければ、未来はない、ということだ」

 ん~ん~ん~ん~、なるほど、なるほどな~。

(つづく)