ガッコ ノ センセ ノ オトモダチ vol.731

はしご酒(Aくんのアトリエ) その百と七十二

「ハンワライ ナ ハンワライアン」

 その筋の評論家も含めて、政治がらみの権力を握る者たちに、よく見られる表情の二大巨頭、って、ナンだと思う?、とAくん。

 よく見られる表情の二大巨頭、か~。

 「国会中継なんかを見ていれば、あ~なるほどね~、って、絶対に思うはず」

 絶対に思うはず、などと言われてしまうと、わかりません、とも言い辛く、必死のパッチの猛スピードで、あの人とか、あの人とか、あの人とかの顔を、思い浮かべてみようと試みる。

 ナンともいけ好かない顔が、次から次へと頭の中に現れては消えていく。

 「いけ好かない、みたいな、そんなモノじゃないですよね」

 「あ~、いけ好かない、ね~。気持ちはわからないでもないけれど、そんな、モロに感情に左右されたようなモノじゃ、ない」

 もっと客観的な表情、ということか。う~ん、思い付かないな。

 「あくまで、あくまで僕の観察によるものなんだけれど、心の中が怪しげな邪念で満ち溢れていればいるほど、人の表情は、半笑い、と、無表情、に、満ち溢れる」

 半笑い、と、無表情、か~。

 もう一度、あの人とか、あの人とか、あの人とかの顔を思い浮かべてみる。

 なるほど、合点もいくし腑にも落ちる。

 しかしながら、なるほど、とは思うけれど、とくに前者、なぜ、半笑い、などという、人を小バカにしたような表情でいられるのか、我々のような一般ピーポーには、なかなか理解し辛い。

 無理やり百歩譲って、一つの戦略的なツールとしてその「半笑い」を行使する、ことの、そのテクニカルな意義は、かなりの不本意まみれながらも、認めよう。ようするに、人を小バカにしたいのだろう。つまり、小バカにして相手を打ち負かす。

 でも、申し訳ないけれど、そんな上から目線の、人を小バカにしたようなハンワライアンたちと、酒を酌み交わそうとは全くもって微塵も思わない。(つづく)