ガッコ ノ センセ ノ オトモダチ vol.580

はしご酒(Aくんのアトリエ) そのニ十一

「シリタクナイノ」③

 だし巻き卵のエナジーで、ようやくパワーがみなぎってきたのか、Aくん、開口一番、「まさに、不都合な真実ってヤツだな」、と。

 「不都合な真実・・・、恐ろしい響きですね」

 「たとえ真実であったとしても、不都合なものは不都合なんだから、闇に葬るべし、ということなんだろうな~」

 「でも、それって、場合によっては、限りなく犯罪に近くはないですか」

 「場合によっては、どころか、近くはないですか、どころか、バリバリの犯罪だろ。でも、社会にとっての必要な悪として、ナンともカンともな地位を獲得してしまう」、と、呆れ気味に語るAくんの表情は、重い。

 このこともまた、この社会の、この世界の、分断、に、繋がっていくのだろうな。などという思いが、私の身体中にジクジクと広がっていく。

 するとAくん、ナニを思ったのか、どこかポルトガルのファドのような哀感を漂わせつつ、あの、菅原洋一の、♪知りたくないの、を、思わせぶり感たっぷりに、歌い出す。

 

 あ~なたの~過去など~知り~たくな~いの~

 済んで~しま~ったことは~仕方な~いじゃ~ないの~

 あ~の人の~ことは~忘~れてほ~しい~

 たとえこの私が~聞いても~ いわ~ないで~

 

(つづく)

 

 

 

 

 

追記

 ナニかと、ホントにタイヘンな日々が続く。でも、ナンとなくながら、きっとステキな年になるような、そんな気がしてならないのだけれど。

 良いお年を!