はしご酒(Aくんのアトリエ) そのニ十一
「シリタクナイノ」③
だし巻き卵のエナジーで、ようやくパワーがみなぎってきたのか、Aくん、開口一番、「まさに、不都合な真実ってヤツだな」、と。
「不都合な真実・・・、恐ろしい響きですね」
「たとえ真実であったとしても、不都合なものは不都合なんだから、闇に葬るべし、ということなんだろうな~」
「でも、それって、場合によっては、限りなく犯罪に近くはないですか」
「場合によっては、どころか、近くはないですか、どころか、バリバリの犯罪だろ。でも、社会にとっての必要な悪として、ナンともカンともな地位を獲得してしまう」、と、呆れ気味に語るAくんの表情は、重い。
このこともまた、この社会の、この世界の、分断、に、繋がっていくのだろうな。などという思いが、私の身体中にジクジクと広がっていく。
するとAくん、ナニを思ったのか、どこかポルトガルのファドのような哀感を漂わせつつ、あの、菅原洋一の、♪知りたくないの、を、思わせぶり感たっぷりに、歌い出す。
あ~なたの~過去など~知り~たくな~いの~
済んで~しま~ったことは~仕方な~いじゃ~ないの~
あ~の人の~ことは~忘~れてほ~しい~
たとえこの私が~聞いても~ いわ~ないで~
(つづく)
追記
ナニかと、ホントにタイヘンな日々が続く。でも、ナンとなくながら、きっとステキな年になるような、そんな気がしてならないのだけれど。
良いお年を!