ガッコ ノ センセ ノ オトモダチ vol.730

はしご酒(Aくんのアトリエ) その百と七十一

「クロシロヲ ツケル」②

 私なりに掘り下げてみる。

 ・・・

 同情?

 ソコまで追い詰めなくても。

 共感?

 ソレもまた致し方なし。

 軽視?

 大したことじゃない。

 恐怖?

 とにかく、怖い。

 拒絶?

 知りたくもない。

 忘却?

 忘れたい。

 ・・・

 掘り下げれば掘り下げるほど、ナンとなく滅入ってくる。

 普通なら、誰だって真実を知りたいと思うはず、の、この、「普通なら」という言葉すら、空しく感じられてくるのである。

 ・・・。

 するとAくん、よほどのお気に入りなのだろう。先ほども、これでもかというぐらいの妖しさで歌い上げてくれた、あの、菅原洋一の♪知りたくないの、を、いま再び、もうワンランク上の哀感まみれ、で、熱唱する。

 あ~なたの~過去など~知り~たく~な~いの~

 済んで~しま~ったことは~仕方な~いじゃ~ないの~

 あ~の人の~ことは~忘~れてほ~しい~

 たとえこの私が~聞いても~いわ~ないで~

 (つづく)