ガッコ ノ センセ ノ オトモダチ vol.692

はしご酒(Aくんのアトリエ) その百と三十三

「ムリガトオレバ ドウリヒッコム」②

 「ここで一つ、おもわずムカついてしまうほど、見事なまでにしてやられた、実に戦略的な事例を紹介しよう」

 おっ。

 「いくらナンでもコレはマズいだろ。ナニも考えることなく、こんなコトをそのまま受け入れてしまっては、ますます意味なき残業を増やすことになる。というような、そんなコトが、圧を伴ってジワジワと上から迫りつつあるとき、慌てて臨時の職員会議を求めた、わけ。すると、もう少し考えさせてくれ、と」

 おおっ。

 「その後、数週間ほどナンの音沙汰もなかったものだから、シビレを切らした僕は、再び食らい付いてみる」

 おおおっ。

 「すると、次回の会議の案件にしているから、と、言ってくれたわけよ」

 おおおおっ。

 「言ってみるもんだな~、と、気分良く職員会議に臨む、と、なんと、すでに決定事項だと」

 えっ。

 「今さら異を唱えられても、時間もないことですし、と、管理職」

 ええっ。

 「オマケに、管理職候補の若手からは、ここまでくると、する、しない、ではなく、どういうふうに、するか、していくか、が、より建設的なものの考え方だと思いますけど、などと、済ました顔で宣われてしまう始末」

 えええっ。

 「戦略的な『無理が通れば道理引っ込む』作戦に、完膚(カンプ)なきまでにしてやられた、という、苦い想い出だ」

 ええええっ。

 どこかでも聞いたような見たような、無理が通れば、無理を通せば、道理引っ込む作戦、に、Aくんでさえも、苦々しく翻弄されていたようだ。(つづく)