ガッコ ノ センセ ノ オトモダチ vol.914

はしご酒(Aくんのアトリエ) その百と百と百と四十五

「ソレハソレ コレハコレ」

 「本来は、ソレはソレ、コレはコレ、で、なければならないのに、ソレとコレとをグチャッと絡めて、コレがソンなことになったからには、もう、ソレはなかったコトにしてよかろう、とか、コレの無念を晴らすためにも、私は、コレに成り代わってソレに命懸けで邁進いたします、みたいな、そんなことに、どうしてもなりがちなんだよな~、この国は」

 ソレはソレ、コレはコレ?

 「ソウやってこの国は、過去においても、圧倒的多数の支持を得て、集団的ヒステリックに、進んではいけない道を進んでいってしまったのかもしれない」

 ん~。

 おそらく、「ドサクサまぎれの火事場泥棒」からの「ソレはソレ、コレはコレ」理論なのだろうけれど、それにしても、いつもながらの言い回しのヤヤこしさで、わかり辛い。

 「場合によっては、先ほどの、情け知らずの執念、の、その『情け』さえも、戦略的ツールとして政治利用してしまう」

 えっ?

 「情け、さえも、政治利用、ですか」

 「そう。情けに、情に、訴えることによって、情けを、情を、上手く取り込む。そして、絡まってはいけないソレとコレとをグチャッと絡ませてしまう」

 ナ、ナンということだ。

 「つまり、落ち着いて冷静に考えれば『おかしいだろ』というようなコトも、『そういうことなら仕方ないんじゃないか』みたいな、そんなコトにしてしまう、というわけだ」

 いつもながらのヤヤこしい言い回しではあるけれど、ナンとなく、どうにかこうにかAくんが言いたいコトが見えてくる。だから、というわけではないけれど、人知れず、フワッと浮かんだ会心の一句。

 ソレはソレ

 情け絡めて

 コレもソレ

(つづく)