はしご酒(Aくんのアトリエ) その百と百と百と四十五
「ソレハソレ コレハコレ」
「本来は、ソレはソレ、コレはコレ、で、なければならないのに、ソレとコレとをグチャッと絡めて、コレがソンなことになったからには、もう、ソレはなかったコトにしてよかろう、とか、コレの無念を晴らすためにも、私は、コレに成り代わってソレに命懸けで邁進いたします、みたいな、そんなことに、どうしてもなりがちなんだよな~、この国は」
ソレはソレ、コレはコレ?
「ソウやってこの国は、過去においても、圧倒的多数の支持を得て、集団的ヒステリックに、進んではいけない道を進んでいってしまったのかもしれない」
ん~。
おそらく、「ドサクサまぎれの火事場泥棒」からの「ソレはソレ、コレはコレ」理論なのだろうけれど、それにしても、いつもながらの言い回しのヤヤこしさで、わかり辛い。
「場合によっては、先ほどの、情け知らずの執念、の、その『情け』さえも、戦略的ツールとして政治利用してしまう」
えっ?
「情け、さえも、政治利用、ですか」
「そう。情けに、情に、訴えることによって、情けを、情を、上手く取り込む。そして、絡まってはいけないソレとコレとをグチャッと絡ませてしまう」
ナ、ナンということだ。
「つまり、落ち着いて冷静に考えれば『おかしいだろ』というようなコトも、『そういうことなら仕方ないんじゃないか』みたいな、そんなコトにしてしまう、というわけだ」
いつもながらのヤヤこしい言い回しではあるけれど、ナンとなく、どうにかこうにかAくんが言いたいコトが見えてくる。だから、というわけではないけれど、人知れず、フワッと浮かんだ会心の一句。
ソレはソレ
情け絡めて
コレもソレ
(つづく)