ガッコ ノ センセ ノ オトモダチ vol.678

はしご酒(Aくんのアトリエ) その百と十九

「ワキガ アマイ?」

 「ちゃんとやる」と「うまいことやる」とでは、月とスッポン、全くもって違うだろ、とAくん。

 時折、シモジモじゃないエライ人たちが、エキセントリックなトピックスとして巷を賑わせる「失言」は、そのほとんどが、我が言動に一点の曇りなし、という、「確信犯的発言」に他ならない、と、Aくんもまた、それらに負けないぐらいの確信に満ちた表情で、宣う。

 たしかに、大抵の場合、そんなつもりで言ったわけではない、という、その言い訳のその背後から、本当のことを言ってナニが悪いのだ、という本音の臭いがプンプンとしてきたりするものだから、普通、ソレを失言とは言わないだろう、と、そのような場面を目にする度に、私は、コッソリと突っ込みを入れてみたりしている。

 するとAくん、そんな私の心の中での突っ込みが聞こえたのか、「つまり、権力を握るシモジモじゃないエライ人たちが、比較的よく口にする、もしくは口にされる、あの、ワキが甘い!、は、つまるところ、うまいことやれ!、ということなんだな」、とAくん。

 ちゃんとやる、を、うまいことやる、としか思えないシモジモじゃないエライ人たちは、「ワキが甘いんだよ、もっとうまいことやってくれよ~」、と、今日も今日とて、ピントはずれの忠告を、お仲間たちにしてあげているのだろうな、きっと。(つづく)