ガッコ ノ センセ ノ オトモダチ vol.741

はしご酒(Aくんのアトリエ) その百と八十二

 「ジゴウジトク ジコセキニン ジジョ」

 人生いろいろ、とか、勝ち組負け組、とか、の、その全ての要因は、その人自身にある、という風潮は、一部の権力を握るシモジモじゃないエライ人たちを中心に、相変わらずそのまま、ドンと居座り続けているようで、頑張れた者は、結果を残せた者は、勝ち組、頑張れなかった者は、結果を残せなかった者は、負け組、といった、随分と稚拙で乱暴なレッテル貼りが、悲しいかな、今でも、横行しているように思えてならない。

 そんな、ダラダラと重く続く私の「勝ち組負け組」系の愚痴に、ナニか感じるものがあったのか、それとも、聞くに堪えないと思ったのか、Aくん、突然、口を開く。

 「自業自得!」

 「えっ」

 「己の頑張りが足らなかったから、能力がなかったから、自業自得、ということなんだろ、きっと」

 自業自得、か~。

 「自業自得からの自己責任であり、自助だということだ」

 さらに一層、気持ちもナニもカも、ズンと重くなる。

 そういえば、一時(イットキ)、よく耳にした「ワーキングプア」という言葉、このところ、全く聞かれなくなった。だからといって、解消されたなどとは、到底、思えない。

 毎日毎日フルで働いても貧困から抜け出せない、この、現代社会の闇に、メディアも目を瞑(ツブ)り始めた、ということなのだろうか。

 そして、闇の中で、苦しみ、もがく、そうした弱者たちに対してさえも、権力を握るシモジモじゃないエライ人たちは、躊躇することもなく口を揃えて、「自業自得!」、と、宣うのだろうか。(つづく)