ガッコ ノ センセ ノ オトモダチ vol.601

はしご酒(Aくんのアトリエ) その四十二

「グルグルマキ ノ フヨウフキュウ」①

 そう易々とは使えない、使うことそのものが憚(ハバカ)られる、という、そんな言葉があったりする、とAくん。

 「たとえば、それは、どんな言葉ですか」、と私。

 「たとえば、ね~、・・・。たとえば、いま、巷を賑わしている、不要不急、などという言葉。コレなんか、使い方次第では、使うタイミング次第では、失望やら不信感やら憤りやらで、一気にグルグル巻きになるおそれがある」、とAくん。

 「グ、グルグル巻き、ですか」

 「そう、グルグル巻き。この言葉が、その感じを、一番言い表しているように思える」

 私がもつグルグル巻きのイメージは、それまで、当たり前だと思っていた自由の、力づくの阻害である。手も足も出なくなる、出せなくなる圧迫感は、身動きどころか、人々の神経さえも締め付け、痛めつける。

 安易で不用意な「不要不急」の使用、たとえば、トンでもないことが起こってしまい、多くの人に自粛を求めなければならなくなったそのときの、とくに、「不要」などという言葉の使用、の、その罪の深さは、そういったグルグル巻きが引き起こす、その、「阻害」感にあるのだろう。(つづく)