ガッコ ノ センセ ノ オトモダチ vol.547

はしご酒(4軒目) その百と百と八十八

「シンポガナイ シンポシヨウトシナイ」(アノ コウモトヒロト)

 「進歩がない、進歩しようとしない」。ザ・クロマニヨンズのボーカルである、あの甲本ヒロトが、ある番組で、これまでの自分たちを振り返り、クールにそのようなことを語っていた、とAくん。

 なんとなく聞いていると、向上心など微塵もない、単なる消極的な姿勢であるとしか思えない。でも、よくよく聞いてみようという気持ちさえあれば、その言葉の深いところから、自分たちの有りようは、時の流れや移り変わり程度のことでは、そう易々とは変わらないぞ、という、プロフェッショナルとしてのブレない凄みみたいなものが、ビシリと伝わってきたりするものだから、不思議なんだよな、と、付言する。

 なるほど、Aくんが語るように、彼の、そうした言葉一つとってみても、受け取り方次第で、真逆の意味合いになってしまったりするのである。ひょっとしたら、このこともまた、先ほどから話題になっている、どうにもこうにも噛み合わず、噛み合おうともせず、真っ当でハイレベルな論戦が繰り広げられないことの、その要因の一つと言えるかもしれない。

 そんなことをアレやコレやと考えれば考えるほど、たとえば国会などで、真っ当な論戦が繰り広げられることなんて、あり得るわけないか、と、グングンと思えてくる。(つづく)