ガッコ ノ センセ ノ オトモダチ vol.541

はしご酒(4軒目) その百と百と八十二

「タテ タツンダ ジヨー!」②

 ナニがナニやら、ニワカには、その小さな雄叫びをの真意を掴み切ることなどできないでいる私に、さらにAくんは、浴びせ倒すが如くにグイグイと語り続ける。

 「ジョー、じょう、情、なんだと思うんだよな。好き、とか、嫌い、とか。お気に入りだ、とか、お気に入りじゃない、とか。得だ、とか、損だ、とか。お世話になっているから、とか、お世話になっていないから、とか。といった、ソンなコンなの、情、が、冷静に聞く、考える、判断する、という、冷静三本立て、の、その前に、デンと立ちはだかる。あまりにデンと立ちはだかっているものだから、到底、その先になんて行けるわけがない。だから、真っ当な論戦なんてあり得ない。そういうことだ」

 なるほど、情、か~。

 「だからこそ、それぞれが、それぞれの考えのそのメリットとデメリットとを、丁寧に語ってみせなければならないんだと思うんだよな。それぞれが、それぞれの考えのメリットだけを、いくら胸を張って熱く語ったとしても、結局は、情、が、邪魔をして、相手の意見に耳など傾けるはずもなく、単なる殴り合いの平行線なんだから」

 そして、分断が分断を呼び、ナンともカンともな憎悪が渦巻く、一層大きな悲劇の分断をつくりあげてしまうのだろうな、と、ドンドンと思えてくる。

 「だから、だからこそ、の、あしたのジョー。断て、断つんだ、情!、って、こと」

(つづく)