ガッコ ノ センセ ノ オトモダチ vol.540

はしご酒(4軒目) その百と百と八十一

「タテ タツンダ ジョー!」①

 なぜ、真っ当な論戦が繰り広げられないのか。

 なぜ、相手の意見に耳を傾けられないのか。

 なぜ、ハートはあたたかいまま、アタマはクールに、考え、そして、判断することができないのか。

 この、なぜなぜなぜ、は、真っ当ではない論戦に終始する当事者のみならず、周囲にも、もちろん波及し、一般ピーポーたちを稚拙な分断に駆り立てる。

 そんな私の、なぜなぜなぜ、に、突然、ボソリと口を切るAくん。

 「あしたのジョー。なのかもしれないな」

 「えっ!?」

 あしたのジョー、といえば、梶原一騎、と、ちばてつや、が、タッグを組んだ、単なるスポ根ではない伝説のボクシング漫画である。

 「そういった、なぜなぜなぜ、の、そのナゾを紐解くカギが、あしたのジョー、に、あるということですか」、と、半信半疑のまま私。

 するとAくんは、拳を握りしめながら小さく雄叫びをあげる。

 「立て、立つんだ、ジョー!」

(つづく)