はしご酒(Aくんのアトリエ) その七十九
「デバガメシンドローム!」②
「覗き見趣味みたいなものの総称として、たしか、デバガメ、って言っていたような」
「そうそうそうそう、それだよ、それ」
ほんの少しだけスッキリしたような気はするけれど、でも、いま、ナゼにココで突然の、デバガメ登場とあい成るのか、の、その、ナゾの塊は、まだまだソコに、デンとナゾのまま、ある。
「で、その、デバガメ、覗き見趣味、が、ナニか?」
だんだんと、少し「いけず」(意地悪)なもの言いになりかけていた私は、わずかに酒器に残っていた酒をグビッと呑み干したあと、フ~ッと息を吐く。
するとAくん、「池田亀太郎は、トンでもないA級デバガメなんだけれど、ソコまではいかないまでも、B級、いや、C級程度のデバガメなら、とくにネット上あたりで、グチュグチュと増殖傾向にあるように、思わないかい」、と。
なるほど、そういうことか。ようやく、ナゾの塊が溶け始める。
その人のことが気になる。その人のプライバシーが気になって気になって仕方がない。覗き見したからといってナニもないだろうに、なんとなく、あるいは、無性に、覗き見したくなる。そして、一旦、覗き見してしまうと、なんとなく、あるいは、無性に、ひとこと言わせてもらいたくなる。
言うならば、まさに、デバガメシンドローム。たしかにコイツは、かなり厄介だ。
「ま、ナンでもカンでも無関心、というのも、如何なものかとは思うけれど。でもな~、ナンでもカンでも覗き見て、ひとこと言わないと気が済まない、というのもまた、如何なものかと思うわけよ、僕は」
(つづく)