ガッコ ノ センセ ノ オトモダチ vol.482

はしご酒(4軒目) その百と百と二十三

「エンガワ ノ ツキアタリ ノ エンマサマ」②

 幼少の頃に住んでいた、当時の我が家。その我が家には、今は亡き母の提案で植えられた、食べられるもの、たとえば、桃、キンカンびわ、柿、赤しそ、などなど、で、グジャグジャッと賑やかな、庭があった。

 そして、ソコには、かくの如き、和風プチジャングルのような庭、を、臨むようにして、昔ながらの、少し広めの縁側もまた、あったのである。

 さらに、この、昼寝をするのに最高にいい塩梅の縁側の、その突き当たりに置かれていた足踏み式の蛇の目のミシンの、そのまた奥の、ちょっとした小宇宙のような絵本コーナーには、子ども心を擽(クスグ)る月刊絵本「キンダーブック」やらなんやらの、お気に入り絵本の数々が、ズラリと並んでいたのだけれど、そのコレクションの中に、一際(ヒトキワ)、やたらとリアルな地獄の閻魔さまの絵本があったことを、今でも、鮮烈に、覚えている。

 腕がもげてしまうカッパの絵本も、悪行の限りを尽くす山姥(ヤマンバ)の絵本も、それなりに恐ろしかったのだけれど、到底、閻魔さまには敵(カナ)わない。

 そんな、懐かしの、あの、絵本のことを思い出しているうちに、ひょっとしたら、あのときの、あの、閻魔さまは、そのコトを、私たちに伝えようとして、あの、縁側の突き当たりに、ドデンと鎮座していたのかもしれないな、などと、思えてきたりもする。

 

 人として、人らしく、ちゃんと生きるんじゃぞ~

 さもないと、地獄の底の底の底まで、ズルリズルリと引き摺り落とすぞ~ 

 ブワッハッハッハ~

 

 やっぱり閻魔さまは、恐ろしい。(つづく)