ガッコ ノ センセ ノ オトモダチ vol.481

はしご酒(4軒目) その百と百と二十二

「エンガワ ノ ツキアタリ ノ エンマサマ」①

 人が人として、人らしく生きる。

 おそらく、誰しもが、当たり前のことだと思うであろう、そんなコトが、どうにもこうにも、難しくなりつつある、と、嘆くAくん。

 とくに、トンでもないことが起こったりすると、ことさら一段と、その困難さはパワーアップする、という。

 人々の、心の中の闇に潜む魔物が、そのトンでもないことによって炙り出される、のかもしれない。

 でも、炙り出されたぐらいのことで、なぜ、人が人として、人らしく生きていけなくなるのだろう。

 「所詮、人間なんて、理性で、邪念を、どうにかこうにか押さえ込んでいるに過ぎない、ということなのでしょうか。その理性を、トンでもないことによって炙り出された魔物が、喰い散らかす」、と私。

 「理性を喰い散らかす、か~、・・・、たしかに、理性があってこその人間、みたいなところは、あるからな~。その理性を喰い散らかされた、となると、たしかに穏やかではない」

 トンでもないことが起こることが、さほど珍しいことではないように、なりつつあるこの乱世では、Aくんが宣うように、人が人として、人らしく生きることが、そう易々と、できることではなくなる、ということもまた、悲しいかな、必然、なのかもしれない。

 そのとき、なぜか、突然、ある絵本のことを思い出す。(つづく)