ガッコ ノ センセ ノ オトモダチ vol.637

はしご酒(Aくんのアトリエ) その七十八

「デバガメシンドローム!」①

 その、覗き見、で、今、ある男の名前が頭の中を過(ヨギ)ったのだ、と、前置きした上で、Aくん、池田亀太郎という人物をご存じか、と尋ねてくる。

 直ちに私の脳内ファイルを、自分としては最大級のスピードで、シラミ潰しに調べてみる。

 池田亀太郎

 池田亀太郎

 池田亀太郎

 ・・・

 全くもってヒットしない。

 「ナニ者なのですか、その池田亀太郎って」、と私。

 するとAくん、シメシメともヤレヤレともまた違う表情を浮かべながら、「池田亀太郎、当代きっての覗き魔、痴漢、変質者」、と。

 「その、当代きっての変質者がどうかしたのですか」

 まるで読めない。はたして、Aくんは、池田亀太郎なる変質者の話題を、なぜ、いまココでもち出してきたのだろう。

 「この男のあだ名が、デバガメ」

 「デ、デバガメ、ですか」

 「そう、デバガメ」

 ん?、デバガメ?

 どこかで聞いたことがあるような気もする。

 「昔ほどではないものの、今でも、比喩的に、使われたりしていると思うんだがな~」

 そ、そうだ、デバガメ!

 あの、デバガメだ。

 間違いない。(つづく)