はしご酒(Aくんのアトリエ) その七十八
「デバガメシンドローム!」①
その、覗き見、で、今、ある男の名前が頭の中を過(ヨギ)ったのだ、と、前置きした上で、Aくん、池田亀太郎という人物をご存じか、と尋ねてくる。
直ちに私の脳内ファイルを、自分としては最大級のスピードで、シラミ潰しに調べてみる。
池田亀太郎
池田亀太郎
池田亀太郎
・・・
全くもってヒットしない。
「ナニ者なのですか、その池田亀太郎って」、と私。
するとAくん、シメシメともヤレヤレともまた違う表情を浮かべながら、「池田亀太郎、当代きっての覗き魔、痴漢、変質者」、と。
「その、当代きっての変質者がどうかしたのですか」
まるで読めない。はたして、Aくんは、池田亀太郎なる変質者の話題を、なぜ、いまココでもち出してきたのだろう。
「この男のあだ名が、デバガメ」
「デ、デバガメ、ですか」
「そう、デバガメ」
ん?、デバガメ?
どこかで聞いたことがあるような気もする。
「昔ほどではないものの、今でも、比喩的に、使われたりしていると思うんだがな~」
そ、そうだ、デバガメ!
あの、デバガメだ。
間違いない。(つづく)