ガッコ ノ センセ ノ オトモダチ vol.412

はしご酒(4軒目) その百と六十三

「ヨウカイ イロガツクツクボウシ ノ キョウフ」④

 頭の中が整理しきれない。へばりつくものがアレやコレやとありすぎるし、その一つひとつにかかる靄(モヤ)も晴れそうにない。

 「仮に、その妖怪もまた、私の愛は、身勝手ではない正真正銘のホンモノの愛なんだ、と、そう信じて疑わない、としたら、どうしますか」

 コレこそが、この問題の核心を突いている、という気がしてならない私は、Aくんの、光り輝くカウンターパンチを、目一杯期待しながら静かに待つことにする。

  

 

 「じゃ、そうなんだろ、それでいいじゃないか」

 「えっ」

 期待が大きかっただけに、プチ静寂に終わりを告げるAくんの、投げ槍とも取れるその言葉に、おもわず「えっ」と声を上げてしまう。と同時に、その言葉の意味を探ろうと、私の頭の中の中古のコンピューターはフル稼働する。もちろん、アッサリと徒労に終わる。

 「信念をもって正しいと思うことを、黙っておけ、とは言えんだろ」、とAくん。

 「それはそうですが」、と私。

 「ソコで初めて議論のゴングが鳴らされる、カーン、とね。ただし、そのゴングのあとがな~、ナンともカ~ンとも・・・」

 結局、グルリと回って元の位置、ブーメランのように「議論ベタ」にまで戻ってくるということなのか、などと、思ったりしているうちに、なんとなく力が抜けてしまう。(つづく)