ガッコ ノ センセ ノ オトモダチ vol.366

はしご酒(4軒目) その百と十七

「ヒニチジョウ ノ ススメ」③

 「成り立たない、な」、と、少しぶっきらぼうにAくん。

 長い沈黙を破っての開口一番(のようなもの)であったので、荒っぽく聞こえたのだろう。しかしながら、それだけ時間をかけたということは、Aくんの中で、日常と非日常との間を行ったり来たりしていたとも言える。おそらく、ある程度、学校の先生という仕事をやりきったあとの創作活動であるだけに、ドップリと日常、とも言い切れないのかもしれない。

 「いい感じ、だということですね。そのことだけは、とても伝わってきます」、と私。

 「そうだな、たしかにそんな気がする。まさしく、創作活動は日常なんだけれど、非日常の軽やかさ、気持ち良さ、そうしたものも、ソコにあるから、君が言うように、いい感じ、なのかな」

 Aくんのように、そんないい感じで仕事ができるに越したことはないけれど、なかなかそうは問屋が卸してくれそうにもない。私には、やはり、まだまだ非日常なナニかが必要な気がする。(つづく)