ガッコ ノ センセ ノ オトモダチ vol.357

はしご酒(4軒目) その百と八

「フアン!」①

 「不安」という言葉の意味をご存知か、とAくん。

 普段、使い慣れた言葉であっても、あらためて問われたりすると、なかなか自信をもって答えられないものである。

 「よくわからないものに対して、なぜか心が、ドンドンとネガティブな方向に、みたいなことじゃ、ないんですか」、と、とりあえず答えてみる。

 すると、そんな私の返答など、ほぼ無視してAくんは、独自の理論を展開し始める。

 「便利や利便性やらをエサに繁殖の一途をたどるベンリザウルス。コイツが、この国の人々を、ますます劣化させる、だけではおさまらず、ますます心まで弱くする。コレがいけない!」

 以前からAくんが熱く展開している「ベンリザウルスが厄介な便を撒き散らす」理論である。

 つまり、現代社会における利便性の申し子である怪獣ベンリザウルスは、地味ながらジワジワと、人々を追い詰めていくだけの戦略をもち合わせている、と、いうわけだ。

 そんなベンリザウルスの必殺技である「不安が不安を呼ぶ不安不安ワールド落とし」。利便性の虜となった人々の、そのモロさを、見事なまでに姑息に突いてくる、らしい。(つづく)