はしご酒(4軒目) その七十五
「ヨウカイ ウケトメテオリマス デ トメテオリマス」
耳を疑いたくなるような不祥事が起こる。
そのことで、未来を震撼させるような深刻な問題が浮き彫りになる。
そんなとき、シモジモじゃないエライ人たちは、いつだってそのことを、シッカリと受け止めております、と宣う。宣ってはくれる。にもかかわらず、だから安心だ、ということに繋がらないところが、この国のスゴいところなんだよな、とAくん。
シッカリと受け止めているのに、なぜ、安心に繋がらないのだろう。
「ま、シッカリと受け止めております、程度のことなら、具体的にどうこうします、って言ってるわけじゃないし、誰だって言えるよな~」、と、吐き捨てるようにAくん。
結局は、受け止めたという、そこのところで止まってしまう、ということなのだろうか。
では、なぜ、そこのところで止まっていられるのだろう。
おそらくは、不祥事やら深刻な問題やらに対処しなければならない側にいるエライ人たちにとっての最大の味方である「世論の風化」が、いつだって優しく寄り添ってくれる、ということなのだろう、と、どうしても思えてしまう。
時間の経過とともに薄まり消えていく「世論の風化」という心強い味方を得て、邪念まみれのその心の奥底に棲みつく妖怪「ウケトメテオリマス デ トメテオリマス」が、「世論なんてチョロいチョロい、この今さえ上手に乗り切ればどうにかなる、なる、なる~」、と、ほくそ笑みつつ、シモジモじゃないエライ人たちの耳元で囁(ササヤ)き続けてくれるのだろうな、きっと。(つづく)