ガッコ ノ センセ ノ オトモダチ vol.302

はしご酒(4軒目) その五十三

「キョウフ ノ センタクシ~ナクナル」④

 「そして、関税の撤廃。とくに、農作物や畜産物などの関税の撤廃は、自殺行為としか思えない」、と、畳み掛けるAくん。

 「選択肢、という点から言わせてもらうと、安心の国産モノと安価の輸入モノとが、スーパーにズラリと並ぶわけで、消費者それぞれの価値観で、選択できるわけだから、それはそれでいいってことにはならないのですか?」、と、今回は、無理やりではなく、素直な気持ちで横槍を入れてみる。

 すると、そうなればいいんだけれど、そう上手くいかないところが世の習い、という、そんな、やや俯瞰(フカン)したようにも見える表情を浮かべながら、Aくんは、さらに静かに語り続ける。

 「これだけ将来に向けての不安感を掻き立てられて、それでも、この国の農業を、畜産を、守らなければならない、って思えるそんな余裕が、シモジモである一般ピーポーたちにあるとは到底・・・」、と、そうボソリボソリとデクレッシェンドに呟いたそのあとは、再び、沈黙の中に潜ってしまう。

 私は、そんな一般ピーポーに対して、この国の、この星の、進むべき真理の道を、丁寧に、時間をかけて説明していく、という使命を担っているのが、シモジモじゃないエライ人たちだと思うのだけれど、残念ながら、またまた、そうは問屋が卸さない、ようである。(つづく)