ガッコ ノ センセ ノ オトモダチ vol.303

はしご酒(4軒目) その五十四

「キョウフ ノ センタクシ~ナクナル」⑤

 内需を中心に据えて、地道にコツコツと、いいモノをつくろうと取り組んできた、その卓越した、食材も含めた、この国の「モノづくり」を、いとも簡単に軽んじて、グローバル化、などという、悪魔の囁(ササヤ)きに、ウツツを抜かすことによる、そのシワ寄せが、きっと近々やってくる、と、思えてならないんだ、という僕のこの懸念が、取り越し苦労であることを、祈るばかりだ、と、再び、沈黙から浮上してきたAくんが語るその言葉は、悲しいかな、それほど、多くの人の心には響かない、届かない、かもしれない。そんな気がする、そんな気がしてならないのである。

 そして、この星のほとんどの人たちが、やっとのことでようやく気づいた、そのときには、もうすでに、人の心の中に宿った邪念を喰らいながら、この世から、選択肢、などという非合理な世迷いごとを一掃することに生きがいを感じる、そんな、妖怪『センタクシ~ナクナル』が、牛耳る社会になってしまっているような気がして、ならないのである。(つづく)