ガッコ ノ センセ ノ オトモダチ vol.350

はしご酒(4軒目) その百と壱

「スジガキヲ エガケナイ?」

 その苛立ちを、プチプチとした生タイプの濁りで、どうにかこうにか緩和しながら、さらに語り続けるAくん。

 「緻密な筋書きを描けない、賢明なプランを立てられない、そんなシモジモじゃないエライ強者が、イニシアチブなど発揮できるわけがない。超説明不足の、行き当たりバッタリ感ほとばしる思いつき政治手法、としか思えないような、そんなものがのさばっている限り、一般ピーポーは、いつだって振り回されっぱなしなんだ」、と。

 またまた納得できないナニかがあったのだろう、Aくんの口元から、緩和しきれなかった苛立ちが、ポトリポトリと垂れ落ちている。

 たとえば、(想定外という言葉は使いたくないが、それでもやっぱり想定外の)トンでもないコトが起こったそんなとき、そんなときこそが、知恵と勇気と決断力と指導力の見せどころだと、私も思いはしている。思いはしているけれど、おそらく、ご多分に漏れず、とかくこの世は、そうは問屋が卸さないのだろう。なんとなく、そんな諦めが、その辺りに、ズズズズズッと漂ったままでいる。

 「そもそも、トンでもないそんなときにこそ大事にしなければならない、と思うモノが、我々、シモジモであるエラクナイ一般ピーポーとは、根本的に違うのかもしれないな~」

 そうボソリとこぼしたAくんの、その瞳の奥で、私以上の「諦め」が、ドンヨリと鈍く光っている、ように見えた。(つづく)