はしご酒(4軒目) その五十
「キョウフ ノ センタクシ~ナクナル」①
「全ての政策には裏がある」、とAくん。
「こんなにいいことありますよ、みたいなことしか、言わないですよね」、と私。
「全くもって、沁みてこない、上っ面だけの説明は、ちょっと犯罪の臭いさえするよな~」、とAくん。
「ホントに必要な政策なら、リスクとか弱点とか未来への不安材料みたいなものとか、を、懇切丁寧に、まず、説明すればいいのに」、と私。
トントントンと小気味良く、Aくんと会話を交わしているうちに、ドンドンドンと、「この手の『いいことだけ言います』的手法って、ほとんどサギ商法と同じなのではないか」という私の中の疑念が、確信という衣に纏われながら膨らんでいく。
「そんな中で、もっとも怪しいものって、ナンだと思います?」、と、尋ねてみる。
するとAくんは、トロリと目を閉じたかと思うと、そのまま黙りこくってしまう。ひょっとしたら、あまりにもたくさんありすぎて、その中から選び出すことに苦戦している、のかもしれない。(つづく)