ガッコ ノ センセ ノ オトモダチ vol.299

はしご酒(4軒目) その五十

「キョウフ ノ センタクシ~ナクナル」①

 「全ての政策には裏がある」、とAくん。

 「こんなにいいことありますよ、みたいなことしか、言わないですよね」、と私。

 「全くもって、沁みてこない、上っ面だけの説明は、ちょっと犯罪の臭いさえするよな~」、とAくん。

 「ホントに必要な政策なら、リスクとか弱点とか未来への不安材料みたいなものとか、を、懇切丁寧に、まず、説明すればいいのに」、と私。

 トントントンと小気味良く、Aくんと会話を交わしているうちに、ドンドンドンと、「この手の『いいことだけ言います』的手法って、ほとんどサギ商法と同じなのではないか」という私の中の疑念が、確信という衣に纏われながら膨らんでいく。

 「そんな中で、もっとも怪しいものって、ナンだと思います?」、と、尋ねてみる。

 するとAくんは、トロリと目を閉じたかと思うと、そのまま黙りこくってしまう。ひょっとしたら、あまりにもたくさんありすぎて、その中から選び出すことに苦戦している、のかもしれない。(つづく)