ガッコ ノ センセ ノ オトモダチ vol.300

はしご酒(4軒目) その五十一

「キョウフ ノ センタクシ~ナクナル」②

 私が思っていた以上に、それなりの時間を費やしたあと、ようやく、Aくん、再始動する。

 「もっとも、ってわけじゃないけれど、いま、気になっているのは、将来、選択肢がなくなってしまうんじゃないか、という危惧、だな」

 「選択肢、ですか」

 「そう。民主主義の素晴らしさは、選択する、できる、その自由と権利が、そこにある、ってことだと、僕は思っている」

 「選択する、できる、その自由と権利、ですか」

 「そう。だから、利便性とか、合理化とか、効率化とか、生産性とか、価格破壊とか、そういったワードが活気付くたびに、オイオイオイオイ大丈夫かよ~、という気持ちに、どうしてもなってしまう」

 「でも、利便性とか、合理化とか、効率化とか、生産性とか、価格破壊とか、って、この国が、この星が、目指そうとしている、どちらかというと起死回生の打開策みたいなモノなわけでしょ」、と、ちょっと無理やり横槍を入れてみる。

 もちろん、だからといって、なんだと~、などという表情を見せるなんてことは全くなく、Aくんは、静かに、淡々と、どうして、選択肢がなくなってしまうんじゃないか、なのか、の、その理由(ワケ)を、ユルリと語り始める。(つづく)