はしご酒(4軒目) その三十六
「オオキイコト ト チイサイコト」
「世の中には、大きいことと小さいことがあるようだな」、とAくん。もちろん、大きいことは、小さいことなどお構い無しの、偉そぶり、だという。
大きいことに携わっているシモジモじゃないエライ人たちは、小さいことごときで反省する必要も、怯(ヒル)む必要も、ましてや、責任を取る必要なんてことも、全くもって微塵もない、というのが、なんとなくこの国に根付く、「そんな小さいことより、もっと大切な大きいことがあるじゃないか」的ものの考え方、だと、Aくん。
さらに、それに引き換え、小さいことにしか携わっていないシモジモであるエラクナイ一般ピーポーは、小さいことごときで、充分に致命的なダメージを加えられてしまう、と、付け加える。
たしかに、TVニュースなどを見ていて、なるほどな~、などと、思ってしまうことが、この頃とくにあるような気がする。
大きいことを頑張ってくれているのだから、小さいことごときは、ま、いいか~、と、一瞬思いもしたけれど、よくよく考えてみると、小さいことごときも、ビシッとできないようなシモジモじゃないエライ人たちに、大きいことなど、ビシッとできるわけないじゃないか、という思いが、ブックリブックリと湧き上ってくる。
そんな私の半ば独り言を、静かに聞いていた(ように見えた)Aくんが、Aくんらしく少々乱暴に結論付ける。
「グチャグチャと、小さなことに姑息にバタついている者たちに、大きいことなど、絶対に、できるはずがない」
(つづく)