ガッコ ノ センセ ノ オトモダチ vol.267

はしご酒(4軒目) その十八

「アコガレ ノ アマチュアイズム ノ ススメ」

 やりたいことだけをやる。納得できないことはしない。カッコよく聞こえなくもないけれど、仕事そのものを選ぶわけだから、アマちゃんだよね、などと、揶揄されてしまう、かもしれない。かもしれないけれど、そうしたい、そうありたい、だからこその、あえての憧れのアマチュアイズムなのだ、と語るAくんの、その体感温度の高いほぼ独り言を、なんとなくボンヤリと聞きながら、自分なりに少し考えてみる。

 巷では働き方改革がどうのこうのとなにかと賑やかな今日この頃、いわゆる定年というそのラインまで、どうにかこうにか頑張って働いてきたそのあとを、どれだけのロートルたちが、やりたいことだけを、納得できることだけを、やる、というその特権を、獲得することができているのだろう、という疑念を、私はズ~っと抱き続けている。

 ひょっとすると、現実には、そう簡単に獲得することなどできそうにない、Aくんが言うところのその憧れのアマチュアイズムというものを、どうにかして手に入れることこそが、浮世離れしたアーティストたちのアーティスト足りうる、最も肝の部分のような、そんな気さえしてくる。

 光り輝く憧れのアマチュアイズム。それを、アマちゃんだよね、などと揶揄し罵(ノノシ)る、その心理の奥のところにあるものは、そうありたいのにそうあれない人たちの、人生に対する悲哀以外のナニものでもないのではないか、という思いに、自分自身の近い未来の姿もグジャッと重なり合わさって、ズンズンと切なくなる。(つづく)